お母さんの本音

実家に戻りたい

新卒で入った大手企業を辞めて、フリーターになってから4ヶ月が過ぎようとしている。

今のアルバイトは正直きつい。

体力的にも、人間関係的にも。

そんな姿をお母さんは側で見ていた。

私のアルバイトの愚痴も常々聞いてくれていた。

心配したのか、「いつでも実家に戻っておいで」と言ってくれた。

つい先日、アルバイト先の人間に対して、ついに耐えられなくなり、アルバイトを辞める決心をした。

しかし、次のアルバイトを探す間、収入が減るし、「家賃を払うため」に働いている現状に辛くなり、本気で実家に戻ろうかと悩んでいた。

今のアパートを引き払って実家に戻るなら、月末までに答えを出さなければいけない。

そこで今日、アルバイト終わりに実家に立ち寄り、お母さんに尋ねた。

「実家に戻ろうかと思ってるんだけど、良い?」

お母さんの本音

つい最近までは「(実家に)戻ってきても良いよ」と言っていたお母さんだが、私がいざ「本気で実家に戻ることを考えている」と告げると、その反応はYESともNOともとれない、曖昧なものだった。

私の将来を考え、「娘にとって今実家に戻るのが最善の選択なのか」を気にしているようだった。

しかし、私は実家に戻るうえで「お母さんの気持ち」を知りたかった。

「母親」としては子供が苦しんでいる以上、実家に戻ることは拒めないはず。

だからこそ、私が実家に戻ることに対して、お母さんが本当は快く思っていないのなら、その時は改めて考え直さなければいけない。

そう考えていた。

だから、私は聞いた。

「私の将来を心配してではなく、お母さんの気持ちが知りたいの!お母さん自身は、私が実家に戻ることをどう思っているの?」

するとお母さんは、涙に目を浮かべて私に言った。

「お母さんは家族皆の話を聞くけれど、お母さんの話は誰も聞いてくれない。

それについては、もうずっと前から諦めてるけど、<筆者>が実家に帰ってきて、そういう態度を取るのはもう耐えられない。

それに、お母さんの中で、<筆者>の悩みはもう『お母さんの悩み』じゃない。

<筆者>が家を出て、一人で生計を立てられるようになってからは、その役目を終えたと思っている。

けど、一つ屋根の下で一緒に暮らす以上、嫌でもお互いに干渉し合うことになる。

お母さんは<筆者>が夜遅く帰ってきたらいつ帰ってくるのか気にする。

心配だってする。

だからこそ、また実家に戻ってお互い干渉し合う生活に戻るのは、<筆者>にとってもお母さんにとっても良いものなのかな。

実は、ずっと前からおばあちゃんの家に行こうかと考えていた。

お母さんだって誰かに甘えたい。

それに、一人になりたい。

自分で働いて稼いだお金を、もっと自分のために使いたい。

お母さんだって自由になりたい。」

初めは突然泣き出したお母さんに驚き、すぐには彼女の言葉を飲み込むことができなかった。

全く予想していなかった展開だったからだ。

しかし、その後すぐにこれまでの自分を振り返り、猛省するに至った。

これまでの自分

実家暮らしの時は、家事を一切手伝わず、いつもお母さんにやらせていた。

お母さんだってバリバリ働いていたのに。

もしかしたら、毎日家族の中で一番疲れていたかもしれないのに。

仕事から疲れて帰ってきたお母さん相手に、晩御飯の用意を催促し、献立や味が気に入らなければ文句を言った。

学校や仕事で辛いことがあると、一方的に話をして、愚痴を聞いてもらった。

お母さんに口を挟む余地を与えず、自分の話したいことだけを一気にぶつけた。

しかし、いざお母さんが自分の話を始めると、「そんなこと聞いていない!」と遮ってしまっていた。

その時のお母さんの気持ちなんて考えたこともなかった。

それを当たり前だと思っていた。

自分のことで、精一杯だった。

そんなことが日常となってからもう10年以上が経つ。

その間、お母さんは一体何度家族に絶望し、期待することを諦めたのだろう。

きっと、心細かったはずだ。

誰かに甘えたかったはずだ。

なぜもっと早く気付けなかったのだろう。

涙が込み上げてくる。

お母さん

当たり前のことだけど、お母さんだって、感情を持った一人の人間。

楽しいことや辛いことがある時は誰かに話を聞いて欲しいし、「大丈夫だよ。よく頑張ったね。」って支えて欲しいに決まっている。

これまでは「いつか立派な大人になって、親孝行をしたい」と漠然と考えていた。

しかし、その考え自体が間違っていた。

私はもう立派な大人だ。

自分ではとうてい立派な大人だとは思えないけれど、大学を卒業し、社会人になった時点で、お母さんと私とは「大人」という対等な関係になったのだ。

あんなに家族思いだったお母さんが子離れしたのだから、私も親離れをし、お母さんを一人の女性に戻してあげなければならない。

お母さんに幸せになってほしい。

私は実家には戻らないことを決めた。

お母さんとのこれから

これまでの自分の考えが、いかにお母さんに依存したものだったか、痛感した。

「仕事を探す間は仕事ができないから実家に戻りたい」なんて言い訳で、またお母さんを苦しめるところだった。

また自立の機会を失うところだった。

お母さんは「母親」を卒業し、次のステージに進もうとしている。

その足を引っ張る権利は「子供」にだってない。

多少苦しくても、甘えたくても、お母さんの幸せを優先する。

これまで家族に甘えたくても甘えられなかったお母さんに私ができる、貴重な親孝行になるはずだから。

お母さんのためなら、もっともっと頑張れる、頑張らなければならない。

それが結果的に私自身のためにもなるはずだから。

真剣に「働く」ということと向き合い、成長させてくれるはずだから。

そんな風に奮い立たせてくれたお母さんに感謝だ。

「もう一度頑張ろう」と思えるきっかけを与えてくれたのはお母さん。

そんな優しいお母さんはついでに、次のアルバイト探しまで手伝ってくれた。(笑)

お母さんは「今回も<筆者>を甘えさせちゃったな。」とアルバイト探しを手伝ったことを後悔した様子だったが、この先頑張るのは私自身なのだから、今回は見逃してもらいたい。

これからもう一つ山を越えてみよう。

今日からまた再出発だ。

お母さん、ありがとう。

これからはもっともっとお母さんの話を聞くね。

義務感からそんなことを言ってるのではなく、お母さんの本音を聞けたからこそ芽生えた「心からそうしてあげたい」という気持ち。

お母さんが私の23年間を支え続けてくれた分、これからは少しでも私の存在がお母さんの人生を楽しませられるような存在でありたいと心から願うよ。

これからも末永くよろしくね、お母さん。

自分らしく生きよう

新卒で入社した大手企業を8ヶ月で辞め、現在はフリーター。ブログでは、「会社を辞めよう」と思ってから実際に辞めるまでの葛藤や、辞めてからの生活を正直に書いています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする